ギャンブル依存症はカジノを語るうえで大きな問題です。
脳のメカニズム、もしなってしまった場合にどうすれば良いのか?治療は病院は行けばいのか?様々な疑問があり、まだまだ世間ではあまり知られていないのが現状です。
今回は、実際にカジノで勤務し、現在は日本のカジノ人材の育成にも携わる高野が専門家としての見解を徹底解説したいと思います。
ギャンブル依存症とは?
ギャンブル、日本語で賭け事を指す言葉です。
ギャンブル依存症とは、このギャンブルに対する欲求を自己でコントロールできなくなる状態を指します。
ギャンブルを嗜むうちに、次第にギャンブルをしていないと落ち着かなくなり、のめり込んでしまうのです。
たばこや酒のような禁断症状に近いものがあると言えるでしょう。
ギャンブル依存症のメカニズム
さて、ギャンブルにほとんど縁が無い方も数多くいらっしゃると思いますが、ギャンブルというのは非常に刺激が強いものです。
度合いは人それぞれですが、こうした強い刺激に触れると、脳内ではドーパミンが大量に分泌されます。
これにより、脳の報酬系と呼ばれる部分は異常に活性化し、人間は本能的にこれを求めてしまうメカニズムが完成します。
なかなか人間の意識レベルでこの脳のメカニズムを解決することは難しいでしょう。
それ故、ギャンブル依存症は不治の病とまで言われます。
ギャンブル依存症の症状
では、実際にギャンブル依存症になってしまうとどうなってしまうのでしょうか?
まずは自分や身近な人間で心当たりが無いか、チェックしてみてください…
- 1、いつもギャンブルのことばかり考える
例:何を言われても上の空。ギャンブルのことしか考えられず、仕事も手につかなくなります。
- 2、ギャンブルに使うお金が増え続ける
例:始めは毎回1万円程度で遊んでいたのに、次第に10万、100万とより強い刺激を求めてしまいます。
- 3、「やめる」と一度決心したにも関わらずギャンブルを繰り返す
例:禁煙や禁酒と同じですね。やめると一時的に決心しても、代わりになるものが無いため戻ってしまいます。
- 4、ストレスや苦悩から逃れたくてギャンブルをする
例:ギャンブルで勝った快感は、ストレスや苦悩を一気に吹き飛ばす力を持っており、それを求めてしまいます。
- 5、負けた分を取り返すためにギャンブルをする
例:次は勝てる、という保証も無いのに、負けた分を取り返そうとして沼にはまってしまいます。
- 6、ギャンブルに使った金額を家族にバレないよう嘘をつく
例:ギャンブルで使ってしまったという後ろめたさから、身内にすら嘘をついてしまうようになります。
- 7、ギャンブルの資金を集めるために生活費に手を付けたり、借金をする
例:自分の小遣いの範囲などでは手が回らなくなり、キャパシティ以上のお金を使ってしまうようになります。
- 8、違法行為に手を染める
例:資金集めのために窃盗、ギャンブルでイカサマ行為など…様々な違法行為に走ってしまいます。
- 9、金銭トラブルから、友人や職場の人間関係が破綻する
例:ギャンブルで資金繰りに詰まった人は身近な人間からお金を借りようとします。その結果、より大きなものを失います。
ギャンブル依存症の原因
先程ご説明したとおり、ギャンブル依存症の方は自己のコントロールが出来ない状態になっています。
このようになってしまう原因は大きく2つです。
まず、快感を求めていることが挙げられます。
人をはじめとした動物は、快感を得る行動をした時、もう一度その快感を求めて反復しようとします。
ギャンブルで勝った時の快感、満足感というものは他に代えがたいとてつもなく大きなものです。
その結果、ギャンブルにのめりこんでしまいます。
ギャンブルで勝った時の快感が忘れられず、気づいたときには…
ビギナーズラックという言葉もあるくらいですから、大勝ちした経験を引っ張るのはあまり良くないかもしれませんね。
次に、嫌なことからの逃げ道にギャンブルを選択していることが挙げられます。
辛いこと、不快なこと、何か問題を抱えているとき、現実逃避の手段としてギャンブルを選択するのです。
ギャンブルはそうした問題の根本的な解決にはならないとわかっていても、心を一時的に落ち着かせるためにギャンブルへ走ってしまう方が数多くいらっしゃいます。
お酒で例えると、ヤケ酒というものに近いかもしれませんね。
ギャンブル依存症になりやすい人の特徴
多くの人が、自分はギャンブル依存症とは縁が無いと思いがちです。
実際にギャンブル依存症に自分で気づくことは非常に困難です。
では、どんな人がギャンブル依存症になりやすいのでしょうか?
統計的に以下のことが分かっています。
- ギャンブルに関する経験・体験(若年期のギャンブル体験(父母・祖父母が行なっているのをみていたことを含む)、ギャンブルで大勝ちした経験)
- 金銭的問題を抱えている(自身が借金している・家族や友人がギャンブルの問題を抱えている)
- 性格的傾向(負けず嫌い・脅迫的)
- 性別(男性に多い傾向)
- 環境(退屈・目標がない・ギャンブルしやすい環境にいる) 参考:独立行政法人国立病院機構久里浜医療センター
これを見ると、男性の方がギャンブル依存症の割合が高いというのは驚きです。
実際に2017年の調査で、男性は女性の10倍以上もの割合でギャンブル依存症であったというのですから、れっきとした事実として受け止める必要があるでしょう。
また、私自身の経験としてギャンブル依存症の方には元々家庭や職場での信頼が厚い方も多くいらっしゃると感じています。
こうした方々は、日々抑圧された感情を吐き出せないでいて、ある時からギャンブルで発散するようになります。
真面目であるがゆえに根本に強い自己否定が潜んでいることが多く、世間の「ギャンブル依存症」=「ダメ人間」という認識も彼らを苦しめ、よりギャンブルへ逃げてしまうケースが後を絶ちません…
ギャンブル依存症の対策、家族が出来ることは?
まず理解していただきたいのは、ギャンブル依存症は本人や家族ですら自覚することが難しい病気です。
気づいたとしても、本人の意思で脱却することはなかなか出来ないでしょう。
そのため、「意志の力ではどうすることもできない病気」であることを受け入れ、まずは身近でギャンブル依存症の疑いがあった時点で基本的に専門機関への相談をおすすめしています。
ギャンブル依存症の対策でやってはいけないこと
ギャンブル依存症の解決策は、
「物理的にギャンブルから遠ざければ良いのでは?」と考える方が非常に多いと思います。
確かに一理あると言えばあるでしょう。
しかし、家族や周りの人間が一方的にギャンブルから遠ざると、
多くの場合、こうした強い自己否定を生む結果となり、再発、悪化してしまいます。
そのため、とりあえず「ギャンブルを禁止にしよう」という安易な考えは非常に危険です。
さらには、再発を重ねるうちに、今後は疲れ切った家族のほうが精神疾患を抱えてしまうケースも後を絶ちません。
本人の力だけでなく、身近な人間の努力を以てしても簡単に解決することは難しい病気だとしっかり認識しましょう!
ギャンブル依存症の治療機関・相談
これまで、ギャンブル依存症は、専門家への相談が重要であるとご説明しました。
しかし、現在日本ではまだまだギャンブル依存症に対する認識が甘く、こうしたネットワークが十分ではないのが現実です。
まずは身近な心療内科などで診察を受け、必ず医師の紹介状等を持って専門機関へ伺うと良いでしょう。
- 独立行政法人国立病院機構 久里浜医療センター http://www.kurihama-med.jp/index.html ギャンブル依存症治療研究部門あり。2014年厚生労働省からギャンブル依存症の全国拠点機関として認定を受ける。 〒239-0841 神奈川県横須賀市野比5-3-1 電話 046-848-1550
- GA(ギャンブラーズ・アノニマス)(ギャンブル依存症者のための自助グループ) http://www.gajapan.jp/index.html 全国で行われているミーティングへの自由参加。 会費なし、メンバー登録なし、予約必要なし。
- ギャマノン(ギャンブル依存症者の家族・友人の自助グループ) http://www.gam-anon.jp/ 全国で行われているミーティングへの自由参加。 会費なし、匿名。
ギャンブル依存症の根本的な解決
ここまでお話ししたことを簡潔にまとめると、
ギャンブル依存症になってしまったが最後、専門家の協力なしではどうにもならない
ということでした。
もちろん私自身カジノの専門家としてこれは正しいことだと思っており、諸外国では日本以上にギャンブル依存症に対するケアというものはしっかりしています。 (もちろんそうでない国もあります。)
私は世界中でカジノに触れる中で、ギャンブル依存症で破滅する人間をかなりの数見てきましたし、反対にギャンブル依存症から立ち直った人間にも沢山出会ってきました。
その中で、特殊な例とはいえ1つ気づいたことがります。
それは、カジノで働くという逆転の発想で依存症を克服した人間が数多くいるということです。
要は、やめられないのであれば、
「もはや、その世界に飛び込んでしまおう」ということですね。
これには大きなメリットがいくつかあります。
- 1、大好きなギャンブルを扱うことが仕事になる
ギャンブルが好きでたまらない人間にとって、ギャンブルの世界で仕事をすることは大きな幸福になります。
仕事の活力に溢れた元依存症の方を見るたびに、天職だったのではないかと嬉しくなります。
- 2、多くの負ける姿を見て、自制心が強く働くようになる
カジノに限らず、ギャンブルというのは客側が負けるように設計されています。
しかし、「理屈では分かっていてもやってしまう」のが人間の性です。
カジノで働くと、日々尋常でない数の負けるプレイヤーを見ることになります。
そうすると、身をもってギャンブルの難しさを実感し、依存症が収まるようです。
- 3、単純に収入などへの不満・不安が無くなる
カジノで働く大きな魅力のひとつが、その収入です。
ギャンブル依存症は、収入や生活への不満・不満が少なからず原因となっていることが多く、依存症の克服に最も直結していると言えるでしょう。
例えばカジノディーラーは年収1000万を超えることが珍しくなく、これからカジノが誕生する日本ではより重宝される人材となります。
カジノで働いてみませんか?
日本では2025年頃、統合型リゾート(IR)が誕生します。
しかし、カジノディーラーを始めとした、カジノで働く多くの人材が足りていません。
今、世界中で日本人のカジノ人材の需要が高まっています。
私はギャンブル依存症の方にこそ今のうちにギャンブルとしっかり向き合い、カジノ人材として活躍してほしいと感じています。
実際に「カジノの学校」では、多くの方のサポートを行ってきました。ぜひ、こういった選択肢も検討してくだされば幸いです。