韓国の江原ランド(カンウォンランド)をご存知でしょうか?
韓国人が唯一入場可能なカジノがあり、自殺、破産、依存症といった問題が山積みの施設です。
IRの失敗例として名高いこのカンウォンランドについて、なぜ失敗したのか?そもそもカンウォンランドはどんなところで、日本人もホテルへ泊まったりカジノで遊べるのか?なども含めて解説していきたいと思います!
カンウォンランドの基本情報と概要
名称 | Kangwon Land |
住所 | 265 High-1 gil, Sabuk-eup, South Korea |
電話番号 | +82 335907081 |
営業時間 | 午前10時~午前4時 |
定休日 | 無し |
公式ホームページ | カンウォンランドの公式サイト |
日本語スタッフ | 有り |
カジノ内での通貨 | W(ウォン) |
カンウォンランドは2000年にオープンした、韓国のカジノリゾートです。
2000年はカジノの一部分の先行オープンのみで、2003年にカジノ全体がオープン、2006年に付属するリゾートエリアが完成し、IRとしての形を完成させました。
カンウォンランド以前にも韓国にカジノは存在したものの、外国人及び在外韓国人のみの入場に制限されていました。
これに対し、カンウォンランドは韓国初の自国民が入場可能なカジノとして営業を開始します。
2018年現在韓国には合計17のカジノが有りますが、韓国内で韓国人が遊ぶことが出来るカジノはカンウォンランド1か所のみです。
もちろん、外国人も入場することは可能です。
カンウォンランドの問題点
華々しくオープンしたカンウォンランドでしたが、次第に問題が明らかになっていきます。
失敗と言われる要因は3つあります。
ギャンブル依存症の問題
まず第一に依存症の問題が挙げられます。
ほどほどに楽しむのがギャンブルですが、のめりこんでしまうと生活が崩壊します。
破産してしまったり、借金苦で自殺してしまう人はもちろん、犯罪に走ってしまうことまであるでしょう。
実際にカンウォンランドのある町では、自殺率やたばこ・酒の摂取率が韓国内でトップという不名誉な記録を作ってしまっています。
依存症に伴う周辺環境の悪化

カンウォンランド周辺の質屋
重度の依存症患者が増えるにつれ、カンウォンランドの周辺環境は変化していきました。
手持ち資金が尽きてもカジノで取り返そうとする依存症患者のために質屋・消費者金融・ATMが立ち並び、沢山の風俗店がも軒を連ねる異様な光景になっています。
ひどいケースだと、カンウォンランドへ車で来て、その車を質に入れてしまうそうです。
結果的に街には宿が無い野宿の中毒患者で溢れ、違法ドラッグなども蔓延しているとても健全とは言えない状況です。
カンウォンランドの建設以降、街の犯罪率も大幅に上昇しました。
周辺環境の悪化に伴う人口減少
もともとは廃れてしまった炭鉱の町を再生するために作られたカンウォンランド。
しかし様々な問題が山積みになった結果、カジノは盛況であるものの町としては完全に崩壊してしまいました。
建設前には15万人以上だった人口は3万人程まで現在落ち込んでいるようです。
小学校もあまりの治安の悪さに隣町へ移転するなどしており、町おこしの救世主にはなることが出来ませんでした。
カンウォンランドの失敗の原因
何故カンウォンランドは多くの問題点を抱え、失敗と言われるようになってしまったのか?
単純にカジノが良くないものであると思考停止することは簡単ですが、今後の日本のIRの成功を考えるためには原因についてしっかりと考える必要があるでしょう。
ということでカンウォンランドの失敗の原因について考察していきたいと思います。
依存症対策が不十分であった
韓国初の自国民向けカジノということもあり、依存症の対策をしっかりするべきでした。
韓国政府はカンウォンランドについて、
・入場は月に15回まで
・2月続けて15回カジノに入ると、賭博中毒センターと呼ばれる施設でカウンセリングを受けさせる
・韓国人は入場料7500ウォン(約700円)
・午前10時~午前4時までの18時間営業(以前は午前6時までの20時間営業)
などの対策を講じていますが、果たして効果を上げることが出来ていたのか疑問です。
ちなみに、これに対して日本でのIRは
・週3回、月10回まで
・依存症対策施設などの具体案は今のところは無し。
・日本人の入場料は6000円
・IR区域外でのカジノに関する広告や宣伝を禁止
・マイナンバーで入場を管理
という方針で話が進んでおり、カンウォンランドよりかは厳しい制限が課せられていることが分かります。
過去の他国の失敗を鑑みて依存症対策を講じることが出来るのは、後発の日本ならではと言えるでしょう。
韓国のギャンブル好きがカンウォンランドに集中してしまった
日本では現在パチンコ店がどこにでもある光景が普通になっていますが、これは世界的に見ても異常な光景です。
多くのパチンコ店の経営者が在日朝鮮人というのは有名な話ですが、実はその本場韓国では2008年の6月からパチンコが完全に禁止になっています。
当時韓国には1万5千軒以上ののパチンコ店がありましたが、それらが一瞬にしてなくなってしまったのです。

潰れたパチンコ店
自ずとパチンコ依存症だった韓国人は違うギャンブルを求めます。
そこに現れたのが、2006に完全オープンした韓国人も入ることが出来るカンウォンランドです。
実際のデータとして2009年当時、外国人専用カジノ16カ所の合計入場客数は168万人でしたが、カンウォンランドは309万人でした。
カンウォンランドだけ極端に多い入場者数で、そのうち入場客の99%以上が韓国人でることは明らかに異常事態です。
当初韓国政府は、カンウォンランドが首都ソウルから3時間半ほどの僻地にあることからもここまでの盛況ぶりを予想していませんでした。
もちろん依存症は悪いことですが、既にあったギャンブルを突然禁止して行き場を失ったギャンブラーたちを1か所に集めてしまった以上、問題が起こるのは避けられなかったように思いますし、想定を超えた客の多さゆえに十分な依存症対策を講じることは不可能だったのでしょう。
日本では最終的にパチンコ店は消えることになると思いますが、こういった例から考えるに社会の混乱を避けるために突然の禁止というのは無いと思われます。
パチンコ産業は依存症患者を生み出す温床になっていますが、当面はIRと共存させていく方針のようです。
国民性の問題
韓国人の国民性として、熱くなりやすいことが挙げられます。
要はギャンブルにのめりこみやすいということです。
日本人や中国人もそういった傾向が強いと言われていますが、eスポーツの分野で韓国人が活躍していることからも、良い意味でも悪い意味でものめりこむ度合いは日本人の想像を超えているのかもしれません。
余談ですが、韓国では近年UFOキャッチャー、クレーンゲームが大ブームだそうです。
クレーンゲームも必ず取れる保証は無い、ある種ギャンブルと言えます。
韓国内のクレーンゲーム店は2017年時点で2年前の20倍にまで増えており、現在も増え続けています。
自国民の入場が可能なカジノというのはどこの国にもあるわけで、ラスベガスにも質屋は存在します。
ただ、韓国のカンウォンランドがその中でも特に異常な事態になっているというのは国民性も少なからず影響していることは否定できません。
日本人もパチンコ産業がこれだけ幅を利かせている以上、ギャンブルにのめりこみやすい国民性であることは確かなので、十分に気を付けたいところではあります。
カジノありきの計画になってしまっていた

シンガポールのマリーナベイサンズ
IRという言葉は、Integrated Resort(統合型リゾート)の頭文字を取った単語です。
日本の報道でもIRの本来の目的ではなくカジノと依存症の問題が先行しているように感じますが、これは大きく違っています。
IRとはカジノ・ホテル・劇場・映画館・ショッピングモール・レストラン・文化ホール・MICE施設(国際会議施設や展示会)などの複合施設であり、カジノはその中の1つに過ぎないのです。
カジノで得た収益はその他の施設に還元されるようになっていて、IR全体で運営が成り立つという仕組みです。
こうした形で成功しているのがシンガポールで、日本のIRはシンガポールを参考に計画されています。
シンガポールのマリーナベイサンズでは全体の売り上げの78%がカジノによるものです。
これに対し、カンウォンランドもカジノ施設のほかに様々な施設を備えた統合型リゾートであるものの、収益の9割以上がカジノによるものになっていて、完全にカジノに依存した施設運営になってしまっています。
つまり、完全にカジノありきの収益計画になってしまっている以上、健全なリゾート運営が出来なくなっているのです。
カンウォンランドへのアクセス、行き方
周辺がスラム化しているカンウォンランドですが、実はマイナーな観光スポットになっています。
韓国中からギャンブラーが集まっているため常に混雑していて、満足に遊ぶことはできないかもしれませんが、時間があれば韓国旅行のついでに訪れてみると良いかもしれません。
住所:265 High-1 gil, Sabuk-eup, South Korea
車やタクシーでのアクセス
ソウルからカンウォンランドまでは、車で3時間半ほどかかります。
タクシー料金の目安は6000ウォン(W)です。
電車でのアクセス
Gohan stationからカンウォンランド行きのシャトルバスが出ています。
ソウル駅からGohan Stationまでは3時間半ほどです。